視察研修報告
令和6年9月7日(日)、本会は京都府与謝野町加悦地区において視察研修を実施し、14名が参加しました。加悦地区は、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されてから本年で20周年を迎える地域です。
当日は、与謝野町職員の清原氏ならびに「ちりめん街道を守り育てる会」佐々木会長、副会長ほか総勢7名の皆様にご対応いただき、地区の案内と意見交換会の機会を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。
まず、加悦町旧役場庁舎を見学しました。同庁舎は耐震改修を経て観光協会の拠点として活用されており、2階の議場はホールとして地域活動に供されています。歴史的建物を再生し、新たな役割を与える取り組みは大変参考となりました。
その後、天神橋を渡り、安良城の城下町跡から「ちりめん街道」へ進みました。街道沿いには明治・大正期の家屋が多く残されており、広い道幅とともに往時の景観をよく伝えています。屋根瓦には桃や亀、家紋などの装飾が見られ、漆喰仕上げや土壁仕上げの家屋、立派な土蔵などが並び、当時の製織業の繁栄を物語っていました。また丘陵地には各宗派の寺院が建ち並び、長大な石段は祭礼の際に神輿が舞い降りる場となるとの説明を受けました。
さらに旧尾藤家を訪問し、和洋折衷の邸宅を案内いただきながら、町並み保存と運営に関する意見交換を行いました。建築意匠の豊かさに触れるとともに、地域住民と保存団体が協働して町並みを維持している様子を知ることができました。3月にも討議の機会がありましたが、改めて加悦地区の運営姿勢には落ち着きと余裕が感じられ、大きな示唆を得ることができました。
総じて、加悦地区の徹底した美化活動による清潔で整然とした町並み、体験教室を主体とした管理物件の運営は、湯浅町にとっても大いに参考となる取組であると感じました。今回の視察研修で得られた知見を今後の活動に活かしてまいります。
湯浅伝建地区保存協議会 籔野博孝